果てしない青のために(Pour le bleu sans fin)

青山勇樹:詩人。名古屋市在住。大学の教員として教育や研究に励みながら、詩を書いています。もともとは、高等学校の国語科の教員でした。31年間の高校勤務のうち、後半の14年間は教頭として学校の管理にあたりました。現在、大学では、言語と表現、日本語表現、日本の文学などの講義を担当しています。あなたの心に、言の葉を揺らす優しい風が届けられますように。光と戯れる言葉のきらめきが、あなたの心にもあふれますように。仕事の依頼などはメールで ⇨ aoyamayuki1963-poetry@yahoo.co.jp

詩集『リエゾン LIAISON』より No.16 「種子」

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種子

かすかなうごめきのほかに
はじめてのいのちは
まだなにもかたろうとはしない
けれどもまもなくはじけて
ひらきこぼれあふれるのだ
あさが
そこここにみちてひろがり
みずのおもてをあざやかにながれて
あかるいさけびをあげはじめるときに

そのかたくとざされたまぶたに
そのにぎりしめたてのひらに
そのむねにそのうでに
そのやわらかなほほのうえに
その

そのいのちのおくにたったひとつのまぶしさ

このいのちのために
おおきなこえでうたをうたおうか
そらのあおさについてかたろうか
うちゅうのひびきをきいてみようか
しようかしようかなにをしようか

ひとがこっそりしんでゆくとき
ミサイルのばくはつはききたくない
おなかをすかせたこどもがいるのに
すきなひととくちづけはかわせない
たったひとくちのみずとひきかえに
こころをうりわたしてしまうことなんて
いのちはいつも
ただひとつのまぶしさだから

ひとつのいのちのよろこびが
ひとつのいのちのはげしさが
ひとつのいのちのかなしみが
ひとつのいのちのくるしみが
はかなさがときめきがいらだちがおどろきが
ひとつのいのちから
またあたらしいひとつのいのちへと
まぶしさとなって
とこしえに

いま
みずのおもてにひとしくつりあい
やがておとずれるかいかのことを
はなやかにゆめみてねむりつづける
ちいさないのち

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