果てしない青のために

あなたの心に、言の葉を揺らす優しい風が届きますように。

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

詩集『リエゾン LIAISON』より No.29「レコード」

レコード 溝のなかであなたはまだ生きていてあの頃よく歌ってくれたジャズのナンバーをちょっとだけよそ行きに歌っている 黒く磨かれたピアノの天板にいつもあなたの横顔がゆれていてそうしているのが癖だった指先でくゆらせている煙草その銘柄もしっかり覚…

詩集『リエゾン LIAISON』より No.28「埠頭」

埠頭 風は渡っていったそれきり もうこれ以上ここで旋律になって歌いつづけられないから預けてあった靴と楽譜をかえしてくださいそういってあなたはでていった真夜中の扉をあけ匂い立つ朝霧の彼方へさよならそのとき叫んだあなたのみずいろがぼくのなかでひ…

詩集『リエゾン LIAISON』より No.27「未遂」

未遂 その街角をまがってまっすぐに行けば青空につきあたるからその城壁に沿って歩いてゆけばかならず青空にゆきつくからそう教えてくれた朱鷺色の髪の少女もウェディング・ドレスの裾を気にしながらいつだったか飛行場から翔びたっていった なにをそんなふ…