果てしない青のために

あなたの心に、言の葉を揺らす優しい風が届きますように。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

序章

それは吹きちぎられたものたちの影それは朝に投げだされた夢それはうつむいた祈りそれは消える風紋それは私けれども私はひとつの遠さである めざめると誰もいない悲しい不在に満ちている遠浅の私うすら陽のなかせつなくあわくどこまでもひろがり 樹々もなく…

椅子

行きましょうかそう言って立ちあがったあなたの耳のふくらみでゆれていた午後の陽がまだそのあたりで立ち去りあぐねているそんな気がしたことのあるその椅子にあなたが腰かけていたのはいつだったろうそれとも黙ったままあなたがその場所にいたということそ…

風の行方

せめてきょうの行方くらいはと寄せてはうずくまる想い出の片隅でしぶきをあびながらしばらくは描かれてゆく波紋をみつめていたけれども 誰もそれをとめることができないままやがて旋律はフィナーレへと流れあなたはいま最後のフレーズを穏やかに胸にうけとめ…