果てしない青のために(Pour le bleu sans fin)

青山勇樹:詩人。名古屋市在住。大学の教員として教育や研究に励みながら、詩を書いています。もともとは、高等学校の国語科の教員でした。31年間の高校勤務のうち、後半の14年間は教頭として学校の管理にあたりました。現在、大学では、言語と表現、日本語表現、日本の文学などの講義を担当しています。あなたの心に、言の葉を揺らす優しい風が届けられますように。光と戯れる言葉のきらめきが、あなたの心にもあふれますように。仕事の依頼などはメールで ⇨ aoyamayuki1963-poetry@yahoo.co.jp

🎍 年末・年始 Special Week 7 🎍 〈未発表詩 4〉 📖 六月の鯨 📖

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六月の鯨

 

真夜中の電話ボックスに閉じこもって
六月の鯨は華やかな夢をみている
外れた受話器からこぼれる発信音を枕に
ガラスの向こうに敷きつめられた紫陽花と
どうにかしておしゃべりできないかと

「もしもし」不意に受話器が話しはじめる
白く濁った気泡がわずかに湧いただけなのに
呼びかけられた気がしたのかもしれない
それともたしかに聞こえたのだろうか
あまりにも鋭い聴細胞は錯覚すらも許さない

六月の鯨はほんのりと頬を染めたまま
いつまでも夢から覚める気配がない
雨と海との溶け合ったひとしずく
目頭から静かにこぼれ落ちたあと
やがて紫陽花の色の潮を吹こうとしている

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