果てしない青のために(Pour le bleu sans fin)

青山勇樹:詩人。名古屋市在住。大学の教員として教育や研究に励みながら、詩を書いています。もともとは、高等学校の国語科の教員でした。31年間の高校勤務のうち、後半の14年間は教頭として学校の管理にあたりました。現在、大学では、言語と表現、日本語表現、日本の文学などの講義を担当しています。あなたの心に、言の葉を揺らす優しい風が届けられますように。光と戯れる言葉のきらめきが、あなたの心にもあふれますように。仕事の依頼などはメールで ⇨ aoyamayuki1963-poetry@yahoo.co.jp

詩集『リエゾン LIAISON』より No.23「流れる」

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流れる

流れるものは水だろうか時間だろうか
どこかから来てどこかへと向けて
流れているものは
いつもひとではなかったか

岸辺でいつまでも見ているので
河は流れてゆくのだろう
見つめられることに耐えきれず
やがて去るひとをいつくしみながら

朝刊を積みあげてゆくと
二年と八日めに背丈とならぶ
だがそれも時間ではない
ただキロあたり何個の
トイレットペーパーの値に等しい

石斧や土器を
ナイフやコーヒーポットに持ちかえて
それからどんな道具を編みだすのか
どんなときにも空はひろがっていて
風は吹いているにちがいない

いつでも星はゆるやかに遠ざかり
いつでも陽は沈みまた昇って
いつでも大地には草木が生い
いつでもひとは歌をうたうが

百年前ここにいたひとは
百年後には誰もいない
それでもひとは誰かを愛し
誰かのために泣くだろう

真昼のスクランブル交差点
けれどもたしかに私はいまここにいて
あなたが好きだと大声をあげる

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