果てしない青のために(Pour le bleu sans fin)

青山勇樹:詩人。名古屋市在住。大学の教員として教育や研究に励みながら、詩を書いています。もともとは、高等学校の国語科の教員でした。31年間の高校勤務のうち、後半の14年間は教頭として学校の管理にあたりました。現在、大学では、言語と表現、日本語表現、日本の文学などの講義を担当しています。あなたの心に、言の葉を揺らす優しい風が届けられますように。光と戯れる言葉のきらめきが、あなたの心にもあふれますように。仕事の依頼などはメールで ⇨ aoyamayuki1963-poetry@yahoo.co.jp

詩集『リエゾン LIAISON』より No.22「メロディー」

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メロディー

あなたのくちびるから
いまメロディーがあふれはじめる
童歌でも流行歌でもなく
あなたがうたうのは
まぶしいひとつのメロディー

私の心のなかにも
なりつづけているメロディーがある
なにげなくくちずさんでみると
それはとてもなつかしい

たとえば花びらの舞うひだまり
たとえばカフェテラスでのおしゃべり
雨あがりのまぶしい石畳の坂
飛び去る渡り鳥の影
ひとの胸のぬくもり
そして掌にとける雪のひとひら

ひかりやいろ
におい
ふとした仕草やさりげない言葉
そんなありふれたものたちのなかで
いつからかずっとなりひびいていて

生まれてくるとき
かたく閉ざしたふたつの拳
あれはきっといのちの重さ
愛の手ごたえではなかったか
そのとき確かにあのメロディーも
握りしめてはいなかったか

ときを越えて
いのちからいのちへと
どんなひとの心にも
やさしく伝えられたメロディーがある

きこえてはこないか
ふとこぼれる涙のひとしずく
きこえてはこないか
はじけあふれるほほえみのなかに
傷つくたびに焦がれるたびに
ときめくたびに苦しむたびに

いまあなたのくちずさむメロディーに
私がひくく声をかさねる
やがてだれかがハミングをのせ
まただれかがうたいはじめ
だれかがくりかえしつづけて
まただれかがくりかえし

どこからかまた
ひとつのメロディーがきこえる
ひとりがひとりに歌声をあわせ
それがいくつもかさなりあって
だれもがうたいつづけるとき

あかるいひかりにつらぬかれながら
高くそびえる梢のむこう
あおい風が吹きはじめる

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