果てしない青のために

あなたの心に、言の葉を揺らす優しい風が届きますように。

詩集『リエゾン LIAISON』より No.04 「留守番電話」

留守番電話 ひとは沈黙がおそろしいのでおしゃべりをやめることができないひとは無がおそろしいので遍在したいと願うのだ 無を語るには沈黙しかないのに電話にさえ私はいないと云う声がいる私はいないというそのことをあたかも在るというかのように 在ること…

詩集『リエゾン LIAISON』より No.03 「不在証明」

不在証明 そこにいるただそれだけの理由であなたを愛せるこれは不遜な考えだろうかたとえば〈たとえば〉という言葉ひとつであなたについて語ろうとするのは 名づけることでそれは私のなかで息衝きはじめる不在証明とはだから名前を消し去ることだ名づけられ…

詩集『リエゾン LIAISON』より No.02 「いざない」

いざない あした真夜中の海にこないか果てしない波のくりかえしのなかでいつまでも眠る真珠になろう それは美しい歌でもなくそれは誓いの言葉でもなくただうずくまるだけの真珠その透きとおる肌のおもてにあらゆるものを映して どんないろやかたちやにおいも…

詩集『リエゾン LIAISON』より No.01 「視線」

視線 ふたりでいるときよりも ひとりでいるときのほうがずっと あなたのことを感じていられる 恋のはじまりとは嫉妬でしかない そんな感情をもてあましながら まぶしさについて考えている 光はどこかに闇があるので あんなにかがやいていられるのかしら たと…