詩集『リエゾン LIAISON』より No.01 「視線」
視線
ふたりでいるときよりも
ひとりでいるときのほうがずっと
あなたのことを感じていられる
恋のはじまりとは嫉妬でしかない
そんな感情をもてあましながら
まぶしさについて考えている
光はどこかに闇があるので
あんなにかがやいていられるのかしら
たとえどんなにあなたが愛されようと
あなたについて考えることだけは
つねに私に許されていてほしい
窓辺に置かれたグレープフルーツが
私のまなざしに耐えきれず
ちょうどいま転げ落ちたところ