涙
見開いた瞳からこぼれ落ちる涙が眩しく光る
声もたてず表情も変えずあなたが泣いている
湿った心のなかに激しい嵐が吹き荒れても
瞬きもしないで空の青だけを見つめている
私は傍らで黙ったままあなたを見つめている
瞳いっぱいにあふれた水に世界が逆さに映る
弱アルカリ性の輝きのなかにくっきり刻まれ
やがて目頭からこぼれ落ちる涙に溶けたら
一粒の小さな水晶となって閉じ込められる
その奥にひっそり私も住んでいるのだろうか
たおやかに流れていく涙の訳を聞きはしまい
たとえそれが戻らない季節のせいだとしても
たとえそれが私の沈黙のせいだったとしても
ただ美しく流れる涙があってもいいだろう
空の青だけを見つめて今あなたが泣いている
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