詩集『リエゾン LIAISON』より No.14「七つのかたち(7-6 コップ)」
あわせた掌ですくうよりも
ひかるガラスの器で飲みたい水もある
水を飲むためにではなく
ながめていたいだけのグラスもある
飲むためにでもながめるためにでもなく
たかぶる感情で砕いてしまってから
しめやかに思い浮かべる輝きもある
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いったい何が原因だったのかよくわかりませんが、停止がおよそ16時間で復旧しました 😄
今後とも、よろしくお願いいたします 🙇
詩集『リエゾン LIAISON』より No.13「七つのかたち(7-5 死角)」
誰もが心にひとつの沈黙を宿している
そこではあらゆるものが収斂し
もはや弾丸ですらそれを射ぬくことができない
かくれることで見えなくなるものがあれば
かくすことで見えてくるものもあるだろう
ふとあおぎみれば星空がかたむいて
たまらなくひとの声が聞きたくなる夜
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詩集『リエゾン LIAISON』より No.12 「七つのかたち(7-4 覗き穴)」
丸でも四角でもまして楔形でもなく
しいていえば疵口にちかい」
あるときは痛みを思いださせる印であり
あるときは秘密が窺えるかもしれない
ただときとして穴のむこうとこちらで
覗き込む瞳がぶつかることもあるが
そのときは黙ってうつむくしかない
詩集『リエゾン LIAISON』より No.11 「七つのかたち(7-3 のっぺらぼう)」
のっぺらぼうは瞳がなかったので
のっぺらぽうは泣くことができなかった
のっぺらぼうは口がなかったので
のっぺらぼうはしゃべることができなかった
のっぺらぼうは誰の子かわからなかったので
へのへのもへじを書いてもらったら
のっぺらぼうは音楽が聞きたいと泣きだす
詩集『リエゾン LIAISON』より No.10 「七つのかたち(7-2 五線)」
書き込まれた記号ばかりなのに
聞こえない音に満ちあふれていて
プレスティッシモのパッセージからは
のぼりつめる小鳥のさえずり
ゲネラル・パウゼにはふき渡るあおい風
ときには緩やかにときには華やかに
五本の線で綴じられた風景がある
詩集『リエゾン LIAISON』より No.08 「七つのかたち(7-1 紅一点)」
七つのかたち(7-1 紅一点)
ひとりでいるときはとてもうつくしい
けれどもふたりでいるときのほうが
あなたはもっときらめいてみえる
たくさんのおとこたちのなかでは
あなたはほとんどまぶしさにちかい
ささやかなねたみとあこがれをいだいて
だからわたしはおとこでいられる