果てしない青のために

あなたの心に、言の葉を揺らす優しい風が届きますように。

詩集『リエゾン LIAISON』より No.20「電話(4-3 電話c)」

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電話(4-3 電話c)

〈もしもし〉が
〈申します〉ではなく
〈もしかしたら〉
と聞こえる昼さがり
盲いた受話器の瞼の奥には
とびちる紅が貼りついて
〈もしもし〉
電話は追憶をたどりはじめる
いつまでもつづく呼出音は
どこへむかっているのだろう
そんなとき
電話も夢をみるのかもしれない
気づけばいつか混線していて
〈もしもし〉
遠くから知らない声が呼ぶ

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